2006年9月7日木曜日

アーカイブ:松井秀喜トレントン来襲





ヤンキースの松井秀喜、ついに実戦へ復帰。行ってきました。
ただいまNY時間の午前4時過ぎ。後3時間ほどで起きなければ行けないのですがつい30分ほど前に家に戻りました。。詳細は明日。。
簡単に今日のトレントン・サンダー写真。心待ちにしてる人がいるでしょうから(笑)

上からついにユニフォーム姿でフィールドへ出る松井。背番号55にサンダー入ってます。

で、日本でもTVで紹介されたというバットボーイならぬバットドッグのチェイス君と記念写真。

初打席、緊張したのかな?

で試合後サインをする今日の先発で将来のエース候補フィリップ・ヒューズ(6回1失点13奪三振)。末恐ろしい。。

残り、詳細はまた明日でーす。
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2006年9月6日水曜日

アーカイブ:松井稼頭央トリビュート- everyone deserves a second chance


トリビュートと書いたのはコロラド・ロッキースへの移籍からメジャー復帰でやっとメッツ時代の呪縛から解けそうな感じがするから、また彼の中にあった何かが”亡くなって”、新しいモノが生まれるだろうという期待も込めて。
(先に言っておくがメッツもしくはメッツファンを責める気はない。メッツ時代に経験した事は怪我など仕方がない部分もあったが、プロとしては本人の責任であるのは間違いない。)

と言う事でメッツ時代、僕が球場などで見たり、聞いたりした事を交えながら振り返ってみようと思う。

僕は子供の頃(85年ころから)は地元でもなんでもなかったけれど、強かった事もあり西武ファン。
でも松井稼頭央が出て来た頃はプロ野球よりは海外スポーツ漬けになっていて、友人は”コイツはすごい”と言っていたのは覚えているけれど、ほとんど記憶にない。97年の日本シリーズは神宮で西武ーヤクルトを見たけれどこの年62盗塁をした稼頭央の印象は0。成績がすごいのは分かってたし、昔TV番組の筋肉番付で稼頭央が色々挑戦するのを見て体は小さいけれど筋力とか運動能力が高いのも分かってた。でも不安だった。何がと言えば守備が。なぜなら単にメジャーのショートはすごいのが一杯いるから。打撃は三振はするだろうけど普通にやると思った。1年目の打撃の方の数字的には.275-.285の10HR、 20SBに30-40の二塁打位だと予想してた。

松井稼頭央のメジャー移籍が決まった2004年、メッツのショートには当時20歳だった超期待のホセ・レイエスがいた。メッツとしては80年代の強打者ダリル・ストロベリー以来の生え抜きの大物野手プロスペクトとしてメッツ内だけでなくメジャー全体で注目されていた選手。
彼は前年、半シーズンをメジャーでプレーしてレギュラーになれる事は証明しつつあったし、将来はゴールドグラブ級の守備と相当なオフェンス能力の片鱗を既に見せていた。(実際今年は歴史に残るような成績でMVP候補の一人である)

なぜメッツがわざわざ稼頭央を取る必要があったのかはその当時から疑問だったけど未だによく分からない(もちろんそれでも期待はしてたけれど)。
当時のメッツのフロント首脳陣はチームが進む方向を完全に見失っていた時期で稼頭央との契約もその一つ。メッツは2002年、2003年と最悪のシーズンの後で、話題が必要だったのもあるだろう。レイエスと松井で両打ち俊足巧打のダイナミックなダブルプレー・コンビを夢見たのもわからないでもない。

メジャーに来る前の稼頭央の評価としては基本的にこちらのスカウトはほとんどが”守備は問題なく一流で、リーグでもトップの守備が出来るショートになるが、始めは打撃は苦しむかもしれない”との意見が多かった。ほんの一部では肩の強さと守備範囲を懸念する声もあった事はあった。
比べられたのは現在ドジャースのRafael Furcal(ラファエル・ファカール)や引退した3拍子揃ったレッズのスーパースターBarry Larkin(バリー・ラーキン)だった。
結果として一番言い当ててたのは”彼はスターではない。でもスター達と一緒にプレーすればすごくチームに貢献するだろう”と言ったスカウト。シカゴ・ホワイトソックスの井口のような状況を言っているわけだ。
もし、稼頭央が今のスターだらけのメッツに始めから来ていれば活躍していたかもしれない。2004年はいきなりチームの顔になる事を期待されていたから後の反動が大きかった。

二遊間を守る選手で、特にメジャー実績が無い選手としては超破格の3年20.1ミリオンドル(20億円以上)の契約時から過剰期待がかけられた松井稼頭央。
前年の松井秀喜と同じようにマンハッタン内のホテル(シェラトン・ニューヨーク)で市長なんかまで呼んでの契約発表。嫌でも期待は募る。
上の写真は毎年メッツがファン向けにオフに行うウィンターキャラバンというモノの一環のサイン会。真冬の寒い中アメリカ人ファンを中心にかなりの人が集まった。その年からチームのクローザーとして契約したBraden Looper(ブレイデン・ルーパー、彼も失敗の一人)はファンに全くと言っていいほど相手にされなかったのが印象的だった。

チームも相当の期待をしていた様でTシャツだけでなく、キーホルダーやぬいぐるみ等稼頭央グッズを沢山売り出した。当然売れ残りまくっていて今でも平気で店に並んでいる。通常選手が移籍すると半額になるのだけれど今の所それも無し。売るには背番号の25の2を消すしかなさそうな感じだ。(5は超人気のデービッド・ライト)

ファンの多くはスカウトが信じていた様に、またメディアが報じていたように”彼はゴールドグラブ級の守備でイチローみたいに足が速くて力もそれなりにあるんでしょ”と思っていた。ホントに。
特に最初のゴールドグラブ級の守備、という所が一番の問題だったのだが。



怪我もあってイマイチのオープン戦の後、本番が始まってみたらいきなり開幕戦初球HR+二塁打2本。華々しいデビュー(写真は翌日の新聞裏面)。1週目の活躍でメッツファンは本物のスターだと思い始めた。
そして、メッツのホーム開幕戦、稼頭央は試合を完全に決める2点二塁打を3塁線に打った。
この時がもしかするとメッツファンの中でもっとも人気があった時だったかもしれない。通路を歩きながら他のファン達とハイタッチをしたのが懐かしい。
はっきり言ってレベルが低く単純なアメリカのファンはそれまでは、シェイスタジアムで日本人を見るとSHINJO!だったのがMATSUI!に替わった時だった。それはそれで今となっては懐かしく思う。

でも、その後はエラーと三振が目立ち始める。明らかに決めなければいけないプレーでのエラーも多くあった。
6月には打撃でも完全に調子を落とし、この頃からブーイングが聞こえ始める。
7月の頭のシェイでのサブウェイシリーズ。1試合でホームラン2本を打った時は観客は逆に静まった。おお、こんな事がやはりできるのか、と驚いたかのよう。ブーイングはエラーや情けない三振の時には出たが、松井自身の打撃はここから調子が上がって来た。
が、腰痛で戦線離脱。これが一番響いたのではないかと思う。
戻ってくると2塁へコンバート。ここからはもういい所がなかった感じだ。

1年目の打撃成績は悪くなかった。怪我をしなかったら僕の予想を越える成績を上げるペースで114試合で.272-7HR-14SBに32本の二塁打。あっさり三振も多かったけれど、実は合格点。

でも、エラーがやはり効いた。
ファンには守備がすごいと思われて来た彼、久々に熱くなれる生え抜き選手レイエスを動かしたという意識がすごく強かったファン、その前にもゴールドグラブ3回のRey Ordonez(レイ・オルドニェス)という曲芸のような守備をしたショートも見ていたファンは当然ブーイングを始めた。一度始めると止まらなくなった。
NYでは期待を裏切ればだれでもブーイングされる。メッツのマイク・ピアッツァ、カルロス・ベルトランらのスーパースターも来たばかりでダメな時は容赦ないブーイングをされたが実力でファンを魅了した。ヤンキースのティノ・マルティネス、ジェイソン・ジアンビらも色々な理由でブーイングをされたけれどファンを掴んだケース。
稼頭央はこれまでの他の色々な選手がそうだったように跳ね返す事ができず消えていってしまった。

それまで鉄人だったのに怪我が続いた事は不調のすごく大きな要因だろう。
また、スターと言えどパリーグの西武での選手、ニューヨークという所でのプレーをする心の準備ができていなかった事も原因だろう。メジャーで長くやってる選手も実際NYのチームに来てみて初めてそのキツサが分かるという。日本から来て分かってたわけは無い。
新聞やラジオは英語だし、見たり聞かなければよいのだろうけどブーイングは嫌でも聞こえる。”気にならない”と言ってもそんな事は無い。

2003年の松井秀喜の後に来たというのも問題だった。
1年目は苦しみながらもチャンスで頼れる歴代のヤンキーの選手達を継承するかのような選手という評価を定着させつつあった秀喜。
名字が一緒なのも当然影響している。(そんなバカなと思う人もいるだろうけど、日本人の友人がいるファンなどそうはいないし、日本の事も何も分かってないファンもいる。ステレオタイプなどは人種のルツボのNYでも日常茶飯事。秀喜の方の時だって伊良部ヒデキと同じ名前だったために”このヒデキは大丈夫か?”と何度聞かれた事か)
ライバルのヤンキースのマツイがいい選手で余計に気分が悪かったのもあり、They got GOOD Matsui, we got BAD Matsui(あっちのはいい松井でウチのはダメ松井)というメッツファンは何人もいた。その通りだ、文句は無い。

NYメディアもキツい事を書いたこともあるが何度と”彼はすごくいい奴で憎めないけれど。。”という前置きもよく目にした。
ファンも”松井は見るからにがんばってるのは分かるけど結果でなくてかわいそう”、”オレは数億円以上貰ってる奴をかわいそうとは思わない”なんて会話もしていた。どちらにも一理ある。
僕も彼が住んでいたウェストチェスターというマンハッタンから出て北の高級住宅地の近くの寿司屋で一度見た事があるけれどすごく礼儀正しい感じ、ちょうど奥さんと子供さんと食事を終えた所ですっと先に出て行って車を回して来ていた。



05年はブーイングのみで終わったような年(なぜだかHRはまたも初打席で打ったが)。怪我を押してプレーしていたのかもしれないが前年見せていた打撃の方のポジティブな面まで消えてしまった。2塁の守備も不慣れなのは明らかだった。新監督のウィリー・ランドルフは元スター2塁手、あのレベルの稼頭央では使いにくかった事だろう。

今年はまたもオープン戦でヒザの怪我。どこまで運も無いのだろうと思った。が、4月にうまく復帰(またも初打席HR)をしたら雰囲気が少し違う。
グランドでも笑う時が増えた感じだし、いままではマウンドに集まる時も2塁やショートのポジションにいたままが多かったように見えたが今年はもっと打ち解けようとしている様に見えた。
守備も練習をしたのは間違いなく、彼が際どいダブルプレーを決めて勝った試合もあった。ロードで復帰し、いい所を見せホームに帰ってくるとブーイングは止まっていた。ファンはみんなよく見ているからだ。

”守備はホントにがんばってるし、うまくなった”という声はよく聞こえた。
でも、やはり稼頭央には”でも”があった。今度は打撃が全くダメになった。とにかく外野にフライを上げる事もできず、三振、ボテボテのゴロか浅いポップフライ。
当然ブーイングは戻って来た。
もうこれでは使えないという所まで来てレギュラーを外される。
そして、トレード。と言ってもメッツが年俸はほぼ全部払うからなんとかトレードにこぎ着けたもの。
やっと来たか、というのがみんなの思いだっただろう。”メッツにとっても稼頭央にとっても良い事”だと言ったオマー・ミナヤGMは正しい。誰が見てももう限界だった。

コロラド・ロッキーズへはトレード拒否権も破棄して、さらに始めはマイナーで調整というのを受け入れての移籍。本人も試合に出る事のできる機会と単に新しい機会が必要なのは分かっていた。
マイナーでの調整中にまたも腰痛に見舞われるも復帰後はそれなりに結果を出したがいつまでもメジャーに戻れず。
本当は1週間早くメジャーに上げる予定だったがロッキーズがメッツ戦でシェイスタジアムに訪れる時期と重なったために首脳陣はブーイングを考慮して待ったとの事。

いざ復帰してみると9月4日現在、40打数17安打(10得点、3二塁打、1三塁打)の.425で今季の打率も.200から.253まで戻している。メジャー初(!)の1試合2盗塁など吹っ切れたかのよう。
メジャーのキャリアの中でおそらく最も好調な時を過ごしている彼はコロラドでの古巣メッツとの3連戦でも活躍し終った。メッツ史上最悪の契約だったかとも言われる稼頭央、これでそのメッツ時代を自分の中で決着が付けられたらと思う。

稼頭央は来年もメジャーにいたいと発言している。この調子を続ければどこかから契約の話はあるはず。ロッキーズも契約延長を考えてもいるみたいだ。
始めに失敗したからと言ってそれで終わりではない。
アメリカでよく言われる ”everyone deserves a second chance”(誰だって二度目のチャンスを与えられるべき)。モノにしてくれる事を願っている。

松井稼頭央の成績
http://sports.yahoo.com/mlb/players/7250



最後になぜ守備のエラーが多かった?
技術的な事は専門家ではないし深くは語る気はないけれど。
天然芝は人工芝とは全く違うとはよく言われた事。自分の左への動きははいいけど右への逆シングルができないとか、目が悪いからコンタクトだゴーグルだ、何て話しもあった。(僕も稼頭央は自分のすぐ横でも強烈な打球は取った覚えがない。)
西武のコーチは”稼頭央はボールを取ってから投げる動作に移るのを急ぎすぎてしまうからエラーが多い”と僕の知ってるある人に言ったらしい。が、中学時代に一緒に野球をしてた人は”打撃は普通だったけど守備はメチャクチャうまかった”とも教えてくれた。”肩の作りが違うからレイエスみたいなのには絶対勝てない”という人(トレーナーかな?)もいた。
”メンタル面の問題しか考えられない、あれだけ多くの人が間違ったというのはあり得ない”というのがファンの間ではやはり一般的意見。ファッションや髪型(色)とかにも気を使って目立ちたがり屋に思えたけれどやはりブーイングや自身の不調、怪我はきつかったのだろうか。
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