ダルビッシュとヤンキースと行き先

ダルビッシュがポスティングになってこの水曜の５時が締め切りですがどこが入札して落札はどこが？入札額はどのくらい？その後の交渉は？気になる事がいっぱいです。

ポスティングのタイミングとしては最高でした。木か金にすれば土日はさんで長くなるし、もちろんC.J. ウィルソンやマーク・バーリーの高額契約の直後だしね。

ちまたではレンジャース、ヤンキース、ブルージェイズ等と言われてますが他も含めてみんな同じ事を言ってるのが笑えます。能力はすごいけど、使える金ないよって。

オフの前の僕の予想は日本残留でしたが、そうなるんでないかと今も思ってます。
今までの他の大物ポスティングやFAとは明らかに態度が違うしねえ。

「この度、ダルビッシュ有はポスティングシステムを利用する事を決めました。」

面白い言い方だな，というのが第一印象。彼独特の話し振りなのかもですが。

だってメジャーに行くとか挑戦するとか夢のためにとか、一切いままでも、このブログでの発表でも言ってない（笑）
ポスティングシステムを利用、何に利用するんだ？って勘ぐるのは僕の悪いクセか？（笑）

まあファルサさんも上手く行かなきゃまた日ハムとはっきり言ってるし。
もちろん、交渉を有利にするためだけの発言かもしれませんがね。こういう言いにくい事は親父さんがいうと。

でも、それじゃあオモロくないので一応ヤンキースを中心に勝手に検証。



★新たな労使協定での変更の影響。
通常の６月のドラフトやインターナショナルFA（近年のチャプ
マンみたいな若いも対象）への契約の総額に上限とキツい罰金ができました。
今までは全くルールがなかったのでどれだけ使っても制裁はなかった。ヤンキースのようなお金を使えるチームに取っては他と差をつけられる箇所でもあったわけです。
（実際には小さいマーケットのチームも近年は少なくともこれは、という選手には金を使いましたけどね。でも数打ちゃ当たる，という事はできなかったから。）

★そして、その新CBAでの贅沢税と利益分配。
これは僕も前からヤンキース（ファン）にとっては労使協定の変更で一番気になる点と言ってましたがNYポストのジョエル・シャーマンも同じ事を書いてました。
こんな感じで小さくない影響を与えそう。
贅沢税がかかって来るチームの総年俸のラインは２０１２と１３年は１７８ミリオン。ヤンキースは当然２００３年に今の制度になってから毎年はらってます。２０１０年が１８Mで０９年は２５.７Mね。
ヤンキースは上限を超える常習犯なので超えた分の４０％をリーグに払います（ちなみにこの贅沢税は他のチームに分配でなくてリーグが選手とかの保険とか待遇改善に使用。よく誤解があるんで）
これが２０１４年になると１８９に上がりますが、初犯は17.5%で最大４０％でなくて常習犯は５０％まであがりますね。（例：総年俸が２１０Mなら210-189=21Mが対象でリーグへ10.5M払う）
それだけならまだいいんですが、利益分配の方の変更で上位１５のマーケット以外のチームにしか分配がいかなくなります。これに伴いヤンキースも払う額が減 るんですが、その恩恵を受けるには贅沢税のかかる１８９M以下の総年俸に抑えておく事が条件です。２０１４年に一度でもそれ以下になっておけばその後超え ても税額は低くなるし、その年に限り利益分配分もセーブできます。これが１年に最低でも１０Mは入って来るようで、贅沢税の課税％のリセットとともに無視 を出来ない額になり、ヤンキースはしばらくは長期大型契約は本当に価値があると判断（今年のCCサバシアみたいな）しない限りはしないのではないか？とい うこと。

ちなみに、現在の時点で２０１４年にヤンキースが払う事が決まってる年俸はジーターが８ミリオンでもう１年やると決めたとして、リベラは引退として約 ９５Mですね。A-Rod=26, CC=23, TEX=23, ジーター=8、ガードナー=7, ノーバ=4、ロバートソン=4。（ガーディとノーバ、ロバートソンは切られずトレードも無く役割も変わらずで１年契約ごと行ったとしてかなり保守的にみて の調停後の予想年俸）
2013年後に契約が切れるグランダーソン、カノーを契約延長キープしたとすると２人で４５Mは行くでしょう。８選手で１４０M。この他にもA-Rodが ７１４号をその年に打つと６M、１０選手を最低年俸で使っても５M。計１５１ミリオン。　単純に計算してますが、あと６選手に３８Mしか残りません。これ 以外にも総年俸に含まれるコストは結構あるので実際は２３Mから２７Mくらいでしょうか。
もう１つ２０Mの契約ってのは現実的に無理。１０Mなら、まあ。。。
ダルビッシュはそれくらいですむのか？
６年６０Mなら松坂超えではありますがね。でも黒田より下と言えば下。黒田の年俸は単年なのでちょい高いのはありますが、２０１０年が１３Mで１１年が１２Mでした。

もちろん、贅沢税とかそういうのを無視するってこともありますが、どうでしょうねえ？
これだけで判断すると余裕はないよねえ。

★じゃあダルビッシュとの契約でお得な事は？
良く言われるのがダルビッシュにかかるのは金のみ、ってやつ。ヤンキースの一番の強みでないか、と。既に上げたようにヤンキースはヤンキースである程度のやりくりはあるので、そうではもちろんないのですが、確かにトレードや他のエリートFAと違っていい点もある。

トレードならばプロスペクトを出さなきゃいけない。クリフ・リーとかハラデイとかならともかく仮にチームに得な契約でも３番手レベルと考えてる投手には多 くは払う気がないのが今のヤンキース。ヨハン・サンタナをトレードで取らなかったようにプロスペクト＋契約延長というのは全くもって論外。

そしてFAだとヤンキースが考える価値よりも高いのがFA市場で、さらにドラフト権も補償で取られてしまう。

ダルビッシュの場合だと上の２つは避けられるわけでいいことです。

そして上に書いた贅沢税に絡めて。もしダルビッシュがポスティングにかかったお金も自分の価値と考えて年俸に加算すると当然年俸自体は落ちます。松坂がそ うだったように総額１０３ミリオンの６年契約だと年に１７Mほどの年俸ですがポスティングの５１Mは除外されるので総年俸には５２Mしか計算されない。
ダルが例えば４０Mのポスティングで６０Mの契約をするとします。チームがダルを１００Mの投手と評価してるのならお得ですね。
ヤンキースのように贅沢税を払うのが確実なチームに取ってはね。
ただ、ファルサさんも言ってるようにポスティングはポスティングで年俸は年俸、というが本当に彼の考えであればそうはいかないけど。

ポスティングの金はただの金だから使えるチームは思い切っていくべき、と言うファンもいます。まあそうかもしれないんですが、どんなビジネスだって先に大 きく払うというのはいいことではないですね。どんな長期契約でもほぼそうですが後ろに後ろにもって行くのが普通。そんなポーンとは払えんでしょ。この前払 いのために、上の利点と相殺とまでは行かないでしょうがそこまで得ではないと答えが出そうです。

★これまでのヤンキースの日本人投手の結果
すでにオーナーのハル・スタインブレナーが井川の失敗は今後に関して影響はないと言ってますが、ヤンキースは伊良部、イチロー、井川と失敗するごとに日本を含むパシフィックリムでのスカウト方法等を変えてます。基本的にはそれぞれの選手に独立した判断をするでしょう。
ダルビッシュもスカウトの判断は当然重視で評価は高い。（井川の場合は力自体が。。。他の中４日とかボールとかの違い以前の問題だったかと）

★これまで大型契約をした時のヤンキースと言うか主にキャッシュマンの反応の一部例
井川と言えば０６年のオフの時はポスティングにあたり、ヤンクスはあまり興味がないと報道が。でも結果はご存知の通り。もちろん松坂資金が余ってたというのはあるんですが。

こ のような例をさらに言えばA-Rodが契約を破棄した２００６年のときはキャッシュマンが出て行けば契約しないと言う様な事を言ってもオーナーの判断で再 契約してるし、去年のラファエル・ソリアーノだってそう。もうちょい前ならレッドソックスのデーモンを取った時もずっと何も言わず、急な契約。０９年のタ シェーラだって予算の余裕はないと言いつつオーナーと掛け合いOKをもらって契約。
特に公の発言は煙に巻くというか、交渉上の優位を得るためだったり、個人的な意見でチームとしては別（上からの命令）だったりとそのまま受け止めることはできませんね。
０９年はもともとCC, TEX, AJのうち２人でも現実的でないかの様な発言もしてましたし。

キャッシュマン／ヤンキースは特に本当に出したくない情報は滅多にメディアに出てきません。理由があってわざと出る、もしくは出てもいいから出るしか情報ないですよね。
こういう何を考えてるか分からず静かなステルスモードのときに何かありますがどうでしょう？トレードですかねえ。去年みたいに発言通り何も無い可能性もあるけど。

★黒田
黒田かダルビッシュか？というわけでないですがダルの入札を上手く勝てなければすぐに黒田にプッシュする気はします。何と言っても１年でいいというのが上記の理由からヤンキースにとっていいですからね。

★来年のFA
投手の目玉はフィリーズのコール・ハメルズとジャイアンツのマット・ケイン。どっちもダルビッシュより確実ではあります。エースに近い２番手にもなれま す。すり減りや怪我が全くないわけではないですが、まだ若い。もちろんまだ１年あるので契約延長が無いとは言えませんがこっちがホントの目当てって話もあ ります。
なので黒田やガルシアの１年契約、ノーバ、ノエシ、ヒューズ等の安い契約が最適？

★プロスペクト
まず、ウィンターリーグでも好投してると言われてキャッシュマンもあえて口に出してるヘクター・ノエシ。十分使える投手になるはず。来年からローテに入って来るかもね。

もっと一般的に評価されるのがキラー・B'sことマニー・バヌエロスとデリン・ベタンセス。ベタンセスはメジャーで９月に投げて緊張からかさらにコント ロールがなかったですが２人ともそこが一番の不安。少なくとも来年はまだ大きな戦力と思われてはいませんが２０１３年には、と思われてるはず。トレードに 使うとしたらよほどの選手が返って来るものしかないでしょうね。特にバヌエロスは昨年のレベルにコマンドが戻ればエースのポテンシャルもあるかも。

この辺もいるし、CC，ノーバ、ガルシア、ヒューズ、バーネットにノエシとデービッド・フェルプス＋マイナー契約組でなんとかなる厚みと無理に思えばそうかも。

★まとめ
冷静に考えるとヤンキースは入札はしてもメチャな額は出さなそうだね。
松坂の時と同様？
Twitterに書いたようにblind biddingなんで先走っちゃうところがいるとボストンのようになっちゃいますが常識的には４０Mかそのちょい上で落札できるはず。そこからどこまで本 気で出すところがあるか？どこも全くそう考えないで、十分勝てるだろうという入札だけで終われば３５Mかそより下でもトップにくるかもね。
松坂の時だってオープンにやればどうだろ？４６Mくらいで終わったかも？メッツ（３９−４０M）とボストン（５１M）だけが本気だったんで。

やっぱりヤンキースがダルビッシュのことを本当のところでどこまで評価してるか？ですね。ただ、評価してて他の日本人投手と違うといくら考えようがメ ジャーで全く投げてないわけでそう簡単に大きなリスクは負わないでしょうね。本気でエースに近い２番手になれると考えてても勝てるレベルの入札のみでしょ うか。絶対に取るぞ！という大きい入札はあり得ないかと。最後はハル・スタインブレナーや経営サイドがどう判断してるか？
ランディ・レビーンが去年のソリアーノの時のようにプッシュすることがあれば。

こういう絶対にとるぞってやってしまうチームはいそうにないですけどねえ。
レンジャースですかねえ。オーナーサイドがどう思ってるかは微妙ですが、GMジョン・ダニエルズは無茶な金まで払うとは思えない。ナショナルズなんかが一番バカそうですが（笑）

何かバスター・オルニー（別にどうってことない記者ですよ）が６５Mの気がするって言ってますが５０Mを優に超えたら僕は驚きますね。そんなの超えたら逆に年俸を上げれずに契約できないかもだし。
もしかしたらダルはポスティングで単に自分への関心を計ってるだけかもしれないしねえ。ポスティングを利用してポスティングの問題を提起するだけかもだし。



★あと各チームの現時点（１２／１２／２０１１）の来年の総年俸と再来年以降にむけて
・ヤンキース　
１７７M＋２０（調停組）＝１９７ミリオンで今年は２０７ミリオンだったのでほとんど空きはないね。来年が終わると２７ミリオンが浮く事は浮きます。ス イッシュ，リベラ、フェリシアーノね。先に書いたようにグランディとカノーをどうするかってのがあるけど。贅沢税とかを無視しない限り空きが十分とは思え ないです。（詳細は上に書いてます）

・レンジャース　
クルーズやナポリなどの調停組を入れて９５ミリオン（CJウィルソンがいなくても去年とすでにほぼ同じ）あります。１００M超えはA-Rod時代以来ありません。それでも、こっから１５−２０ミリオン増は余裕で行けると言えますかね。フィルダーを取るなんて話もあります。
ジョシュ・ハミルトンは来年で終わり、その後は再来年でキンズラー、ヤングはFAに。ヤングはともかく他の２人は契約延長に持ってくはず。他にもコルビー・ルイスとかナポリが来年のあとにFAでクルーズもいるしその辺はどうするのかね？
なら長期的にはそこまでの余裕があるのか？
フェリース、アンドルス、ホーランド、ハリソン、オガンドー、そしてレオニス・マーティンが使えるとコアになるところが安くしばらく行けるので総年俸の柔軟性はあります。
また、ここんとこの強さで年間４０万人の観客増員。２０１５年から新しいローカルTVの放映権が入って来ます。それが年間８０ミリオン（現在が２０M）なのでチケットなどと含めて１００M級の増収になるかも。
ただ、昨年や今年は人気が出ただけなんでまだそこまでの増収ではないし、他にもチーム買収の時の支払いなんかも大きいみたいだし。
長期的には１４０Mとかの総年俸を保つことがあるかもですね。
なら前金になっちゃうポスティング入札自体はどこまで出せるか微妙（オーナーサイド次第）も十分ダルの組み込みは行けるわね。

・ブルージェイズ　
現時点で６８ミリオンくらい（調停含む）。１０−３０ミリオン使えてもおかしくはないけど。バーノン・ウェルズをエンジェルスに引き取ってもらったので重 荷な契約もないし、バティスタはお得な１４Mだし。いい状態にあってそろそろなんとか東地区の上位３チームを超えたいと思ってるだろうけどね。A'sのジ オ・ゴンザレスとのトレードも考えてるらしいが。
たしかにエースが必要ではあるのでダルに期待ってのもわかるけど。個人的にはダークホースだと思ってましたがどうでしょう？ポスティング入札自体にはそこまで使わないかなあ。

・ナショナルズ　
現在６０ミリオンほど。　よくてあと15-20ミリオンほどしか使えないはず。今年は６８Mでした。もちろんもっと総年俸を上げてもいいと判断する可能性 はあるし、これからのチームの目玉（ストラスバーグとブライス・ハーパー）にもう一人、とかあるだろうし、この数年大物に手を出そう（タシェーラとか）とするか、間違って出しちゃうか（ワー ス）、だしね。今年もマーリンズにバーリーで負けてるし。

・エンジェルス　
いや、さすがにない（笑）
プーとCJで現時点で１５６ミリオン。過去最大です。来年終わるとトリイ・ハンターとボビー・アブレユの２７Mが１３年の後にはハーレンとサンタナで２０Mが落ちる事は落ちます。

・マーリンズ　
すでに９５ミリオンくらい。ここも過去最大です。今年が５８Mでした。フィルダーには行かないらしいですがダルの可能性は０でない気も。ただ、ポーンとポスティングに現在出す金はないんでないかな。新球場がオープンした後の来年ならともかく。

・フィリーズ
現在１４５Mです。 ２０M程今年より低いですね。去年が特別だったのかもですが、今勝つための方針はまだかわらず。ハワードのみがホントに長期的重荷です。
ハメルズが来季後FAってのは書きましたが彼と契約延長が難しそうと判断してるならダル獲りをしてハメルズをトレードってのもあり。ここもジオ・ゴンザレ スに興味があってそっちの方が可能性ありそう。今年後はジョー・ブラントンの１０Mが消えます。シェーン・ビクトリーノをどうするかってのもあるけど。 チェイス・アトリーは2013年後に１５Mが消えます。ダル獲りやれなくないんじゃないかな？

・カブス　
現在９５Mですね。４０Mほど今年との差があります。だからと言って使うとは限りませんが、フィルダーの方が濃厚ですかね。これでエプステインがダルにも 巨額入札だったら笑ってしまうが。　ザンブラノはあと２年で１９Mずつ、そしてソリアーノの５７M（３年）が邪魔。あと２、３年かけて立て直す方向だとし てもダルを取っておくというのはありと言えばあり。

・レッドソックス　
１６４Mが今年でしたが、すでにオルティスを１年契約で入れて１５７Mは行きます。よほどの事がなければ余裕はあまりないですね。贅沢税ギリギリレベルです。　
２０１２年後は４０Mくらい浮きますが、ジャコビー・エルズブリーの長期契約をどうするか？ジョン・レスターと２０１４年後どうするか？なんてのもあるしね。１２年はキツいけどできなくはない。入札くらいはしてもおかしくはないけどねえ。

・オリオールズ　
６５Mまで行っててあと２０くらい使えなくはない。来年でブライアン・ロバーツの１０Mは消えます。そろそろまた強くなって来て欲しいけど無理だなw　入札だけ形でしそうな気はする。

・マリナース（すっかり忘れてたので追加12/13/2011）
現在６８Mくらいで３０Mくらい使えなくはない。フィルダーが本命のようだけど、ダルに方向転換がないとは言えないよね。ちょうどヤフーのジェフ・パッサンが書いてたけどダルは西海岸の方がいいらしいし。
イチローは来年で終わるけどどうするのか？ってのもあるけどそれ以外にそんな大きな負担はないしね。フィギンスは今のままではトレードできないし、キング・フェリックスもシアトルが好きならまあトレードする必要もまだない。ダルがこのチームで投げたいと思うとは思えないけど。


・タイガース
現在９８Mまで行ってて今年が１０７M。１２０Mくらいまで延ばせるかもだけどダルはないかな。ポスティングも払わないでしょう。

・ドジャース
新オーナーになれば知らないが現時点では契約延長とかこの数年だけの契約はともかく大型FAやダルビッシュはさすがにないでしょう。

・メッツ
ちょっと前のメッツなら確実に入札でしたが現在はかなりキツい経営。年俸加算どころかポスティングの金は絶対無いと言っていい。